それは雲の上、
飛行機でも行けない遥か上空。

「風力3、風向北東、風圧、抵抗、異常なし!!」

彼の名前はルーホー。
風を管理する"風職人"。この街の天気を決めるのが彼の仕事。

と、言っても雲を作ったり太陽を出したりしているのではない。
風力、風向、風圧を一定に保ち、
気象に異常が起こらないように管理をしているのだ。

地域の動植物の生存に関わる仕事だからこそ、
この仕事に就くにはキャリアが必要だ。

まず、雲の上の住人は全て
ハイスクールで風を操るメカニズムを学ぶ。
その中で学力の高いものが
風を作る専門分野の大学へ

それ以外の人はそこからは
雲を作る専門分野への就くことになる。

さらに大学の中でも
全てのメカニズムを把握し、
高い技術を身に付けた者だけが
風を管理する"風職人"となれるのだ。

管理者だからこそ様々な事へ対抗出来る
技術と知識が求められる。

そんなルーホーにはパートナーがいる。
ルーホーの元に1つのつむじ風がやってくる。

「ピーーっ!」
「おっ!ハント!こっちへおいで。」

風犬の"ハント"。
普段はペットとしてルーホーに飼われている。

しかし、その存在は几帳面なルーホーにとって仕事の上でも欠かせない。

「さぁハント!地上の様子を教えてくれ!」

ハントの瞳は地上の様子を映し出す千里眼。

ルーホーは只でさえ微妙な変化を調整する神経を使う風の管理の仕事をこなしながら

ハントの瞳が映し出す景色を通じて
10000m下の自分の街の変化さえ見逃さない
完璧主義者なのだ。


そんなルーホーには最近楽しみがある。

「3日ぶりだな〜。今日も変わりはないかな〜?」

仕事の合間の息抜きにたまに覗き込むその眼差しの先。

ハントの瞳が映し出すのは
ルーホーの管理する赤と白が織りなす
綺麗な町並み。
その町外れのチューリップ畑。

その花畑の中に一人の少女が佇む。

そよ風で揺れるチューリップ畑の中央で長い髪を
なびかせながら花の手入れをする。

その少女の名前は"ブルー"という名前の18歳の少女。
漁師の娘だが母がいない彼女は家計を支える為、
チューリップ畑で花を育てる仕事をしている。

ルーホーはそんな少女に一目惚れ。

「よし!今日も心配はなさそうだ。それにしても彼女には綺麗な花が似合うな〜。」

と、想いにふけりながら
忙しい仕事の疲れを癒やすのだ。



そんなある日、、
街は突然の気象の乱れに見舞われた。