キミは掴めない。



きゃっきゃと盛り上がったあとで、「次は千尋ちゃんの番だね!」と背中を押した。


「ありがとうっ、そのあとはみっちゃんの借り物競走だね!リレー終わったらすぐ応援行く!」


もう一度ハグをしてくれた千尋ちゃんは、待機場所へと向かって行く。


その背中を見送って、わたしも借り物競走に備えた。




「美瑚、」


出番直前。

さっきとはまた違う意味でドキドキしていたわたしを、誰かが呼んだ。


誰か、っていうのも変かな。

この学校でわたしを『美瑚』と呼ぶのは、1人だけ。


「清瀬くん」

「なに、また緊張してんの?」


クスリと笑う清瀬くん。

さっきまで遠いところで走っていたから、今目の前にいるのがなんだか不思議な気がする。



「そ、そんなことないもん」

「んなバレバレな嘘つくなって」


誤魔化そうとしてみても、清瀬くんにはどうやらお見通しのよう。