「あれ、清瀬のやつまたどっか行った?」
「またか〜。急にふらっといなくなるよなぁ、アイツ」
「マジ野良猫みてぇ」
あはは、なんて笑いながら、わたしの隣を男子たちが通り過ぎていく。
それをチラッと横目で見ながら、足早に廊下を進んでいった。
……また言われてるなぁ。
清瀬くんと関わるようになって、だいぶ日が経った。
今までは噂でしか知らなかった彼のことを、ここ数週間でだいぶ知れたと思う。
そしてそのうちのひとつが、これ。
いつもは色んな人に囲まれてその中心に必ずいるはずなのに、どうやら清瀬くんはふとしたときにその姿を消すらしい。
その行き先は誰も知らず、それはまさに自由きままな野良猫みたいだ、と。