「き、キライっ!!」


もうこんなの、ただの照れ隠しだってバレている。

でも、言わずにはいられなかった。


「はいはい、知ってるよ」と、清瀬くんには笑われてしまうけれど。


「この場所は、俺と美瑚だけの秘密だからな」


そんなことを言われたら、不覚にも嬉しいと思う自分が顔を出す。



3階の、旧音楽室。

1年生の頃から、清瀬くんだけが使っていた秘密の場所。


どうしてわたしに教えてくれたのかはわからないけれど、ここに来たら清瀬くんに話を聞いてもらえるんだ。


「うん、わかった。誰にも言わない」

「ん。いい子」


せっかくできた千尋ちゃんという大事なお友達に、早速言えないことができたのは少し罪悪感があるけれど。


よしよしと頭を撫でてくれたその手に、やっぱり安心してしまうわたしがいた。