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「大変です、清瀬くん」
「うん?どしたの」
「千尋ちゃんが、いい人すぎる……」
千尋ちゃんと晴れてお友達になれてから、約1週間。
ついに喜びを我慢できなくなったわたしは、清瀬くんにこの気持ちを聞いてもらおうとある場所にやってきた。
本を読んでいたらしい清瀬くんが、パタンとそれを閉じてわたしを見てクスリと笑う。
「今まで来なかったのに急に来たと思えば、手塚の話ね」
こっちにおいで、と手招きされたのは、清瀬くんの隣。
お言葉に甘えてちょこんと窓辺に腰掛けると、「で?」と優しく声をかけられた。
ここは、3階。
この校舎の中で最も玄関から遠い場所。
今は誰にも使われていない、旧音楽室。
今まで何度かおいでと誘われていたけど、わたしは今日、初めてここにやってきた。



