キミは掴めない。



「と、とりあえず、人に話しかけてみる……」

「うん、そんな怯えた顔で言わないで美瑚ちゃん。俺が心配になる」


苦笑いでわたしの頭を撫でてくれる清瀬くん。

とにかく頑張ってみようの精神で、わたしは気合を入れた。



……は、いいんだけど。


「おーい、早く部活行こうぜー!」
「おう、いま行く!」

「あっ、今日俳優のケントくんのドラマやるじゃん!早く帰って録画しなきゃっ」
「あ〜そういえば先週いいところで終わってたもんね〜」


結局、教室に戻ってからも誰にも話しかけることが出来ず、あっという間に放課後になってしまった。


ちょこんとただ席に座っているだけのわたしの周りは、みんなお喋りをしながらそれぞれ放課後の時間を過ごしている。


誰かに話しかけようと意気込んだくせに、その勇気はどんどん消失していく一方だった。