「なぁ、美瑚」


ふと名前を呼ばれて、まっすぐその目を見た。


相変わらず頬杖をついたその態度。

それでも、目だけは真剣にわたしを見ていて。


「美瑚はこれからどうしたいわけ?もしもの期待を胸に初恋を貫くのか、それとも新しく前に進むのか」


ニッと口角を上げたその表情は、昨日から見ていた意地悪なものではなかった。


「もし前に進むなら、協力してやるよ」

「協力……?」

「そ。この1年で、美瑚を変えてやる」


自信たっぷりのその表情。

どこからそんな自信が湧いてくるのかなんて、全然わからない。


「……清瀬くん、やっぱりなんかイヤだ」

「うん、もうそれは褒め言葉って事でいーわ」


何を考えているのかわからない。

またわたしでからかって面白がってるだけかもしれない。


だってこの人、意地悪だもん。

まだあんまり、信じることもできない。



……それでも。