キミは掴めない。



「清瀬はもう終わってんのか。早いな」

「……センセー、女子生徒の頭撫でるとかセクハラで訴えられますよ?」

「ちょ、清瀬くん……!?」


それなのに清瀬くんが突然アキちゃんにセクハラ宣言をするものだから、驚いて思わず作業する手を止めた。


机に頬杖をつきながら発言するという、なんとも態度の悪い清瀬くん。


「ハハッ、セクハラか。それはまずいな。でもまぁ、月島だからセーフ、かな?」


そんな彼の言葉に態度を変えることもなく軽く笑って受け流すアキちゃんはさすがは大人だ。


「……そんなんだから、諦められないんじゃねぇの」

「ん?なんか言ったか?清瀬」

「さぁ?何でもないです」


清瀬くんの小さな独り言はアキちゃんにはどうやら聞こえなかったらしい。


けど、わたしには……。