キミは掴めない。



「キライ。清瀬くん」

「結構はっきり言うな」


さっきから、この人はなんでこんなに楽しそうなんだろう。


「でもさ、他の女より美瑚とやりたかったのは本当だからな」

「……っ、そんなの知らない」

「あ、ちょっと照れた?」

「そ、そんなわけないでしょ……!?」


あぁ、だからイヤなのに。


昨日の今日で確信した。

清瀬くんは、完全にわたしで楽しんでいる。


「おーい、終わったかー?」

「っ、アキ……先生!」


ガラッと教室の扉が開いて、アキちゃんが来てくれたのはそんなタイミングだった。


「お、月島。あと少しだな。頑張れ」


わたしの手元を見て状況を把握したらしいアキちゃんは、ポンポンとわたしの頭を撫でてくれる。

その優しくて大きな手に安心するのはいつものこと。


「………」