「ちょっと、トイレ行ってくる。」
私はトイレに向かった。スマホを机の上の置いたままだった。
戻ってくると、急に、ソファの上に押し倒された。

「痛い。何?」
「流星って誰だよ。」
「は?」
スマホを画面を見せられた。
「あー、モデルの流星くん。今日、対談の撮影だったの。」
「ほかの男と仲良くするな。何ほいほいLINE交換してんだよ。」
「もしかして、嫉妬?」
「うるさい。ムカついた」
そのままキスされた。
放心状態になったが、すぐに振り払った。

「帰る。」
「帰さない。座れ。」
座った。
「今度は俺にキスしろ。」
実は自分からキスするのは初めてだった。
そう、私は恋愛経験0なのだ。高校生になってすぐ、モデルの仕事初めて忙しくなったし、そもそも地味キャラだからできるわけがなかった。

動揺しながら、キスした。
「優奈。震えてる。初めて?」
「そうです。私、恋愛経験ないの。だから、わからない。」
「そうなんだ。可愛い。」
ギューと抱きしめられた。
「俺が、教えてあげる。付き合え。あ、これ命令。断る権利なし。」
「はい。」

「帰ろうか。」
カラオケ屋を出て、2人で電車に乗った。
満員だった。押しつぶされそうな私を里玖が必死にかばってくれた。
電車を降りた。
「ありがとう。松井くん駅ここ?」
「2つ前。彼氏なんだから、里玖と呼べ。これも命令。」
「里玖」
「じゃな。明日、学校で。お弁当楽しみにしてるよ。」
「じゃあ。」

『わざわざ、送ってくれたんだ。いいやつなのか、悪いやつなのかわかんない。』

その夜、里玖のことばかり考えていた。