「訳ありの桃、何それって?」 母が何を言い出すのか、少しだけ、怖くなる。 「旨そうな桃だと思って切ると、堅物で中から…」 「中から何?」 「男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲くと言うじゃないか」 「もしかしたら、隠し子かなんかいたりして」 「いくら、何でもひど過ぎる」 まさか、こんなことを言われるとは思わなかった。 「子供には人気があると聞いたけど、実際に会って見ればわかるよ」 「気に入らなければ、断って良いから」