やっと、籠から、飛び出せると思っていた。 初めての成田という空港から、彼ひとりで行っちゃったよ。 寂しそうな一雄の顔は一生忘れられない。 確かに両親からは猛反対される。 けれど、兄ちゃんはゆき乃よ飛んでみろと応援してくれた。 今は『 虚無 』という言葉が一番似合う気持ちとなっている。 あーあ。何にも、なくなっちゃった。 目の前に彼から届いた自由の女神の絵葉書がある。 裏には、添え書きがされて。 「ゆき乃、いつまでも待っているよ」 そう、書いてあったが……