やっぱり、あのひとだ。政孝さん。 お見合いを断ったひと、名刺は貰っていたが、連絡もしなかった男。 さぞかし、冷たい女だと思われていたのだろう。 もう、恥ずかしくて合わせる顔がないよ。 ところが、突然に浴衣姿のわたしの方へ近づいてくる。 でも、忘れてしまったよね。わたしのことなんか。 けれど、もう、逃げたくなかった。