「このまま、また、見知らぬ他人になってしまうなんて寂し過ぎる」 「そうだよね」 「まずはせっかくだからふたりで楽しい時間にしよう」 「はい、大賛成。見知らぬ男女の思い出づくりとして」 政孝は少しずつ話してくれる。 自分のことをいつの間にか俺と言っている。 「俺さあー、京都で生まれ、あっちで先生やっていた」 「えっ、それなら、何で…」 いつからか、ふたりの距離は次第に近づいてゆく。 初めて会った2人とは思えない。