実際のお見合いの席は、きっと堅苦しくて息の詰まる2時間だろうな。 やっぱり、おめかし狐で頬かむりして下を向いていよう。辛抱、辛抱や。 叔母さんへの義理立てが肝心、失礼だけはしないよう注意しておこう。 「お客さまがいらっしゃいました。お部屋でお待ちです」 時計を見ると、まだ、1時少し前。 部屋まで女将が丁寧に案内してくれた。 突然に緊張が襲ってきた。どうしよう。 「仲川様、お越しです」 女将が先に声をかけ、部屋の扉を開ける。 助かった。