「ヤッパシ、いけないんだ、いけないんだ。それから?」
「茶屋街を少しだけ、ふたりでぶらついた」

「男の下心、あったんでしょう」
「ちょっとだけ。男なんて皆そうさ」
兄は正直に話してくれる。
でも、こんなとこ好き。
男って、本当にダメな奴ばかり。

あんなに可愛い彼女がいるくせして。
もう、兄ちゃんたら、本当に女の気持ちが全然分かっていない。

「まるで、密会みたいじゃない」
「けど、変なことしておらん」
「兄ちゃん、そんなんじゃないんだから。織姫は恋の行く末を心配してるの」
このまま別れたら、あれ、どうなっちゃうのだろうか。