「そっか、頑張れよ」

「うん。それにしても、晴人は相変わらず花が好きだね」

私なんか存在していないかのような、二人だけの世界。私は踏み込めない。


見た目も中身も子どもっぽい私は、実花さんの視線が怖くて。

背を向けたまま、夢中で雑草を抜いた。先輩の隣には、やっぱり実花さんみたいな人がいるべきなんだ。


南先輩の隣にいられるのが当たり前になってきたこの頃。

だから気がつかなかったけれど、先輩の隣にいるのが、初めてふさわしくないと思った。


二人の会話が終わって、実花さんの足音が遠ざかる。

「……あの人、俺の好きな人」

初めて先輩を見たときと同じ、切なく寂しげな表情でぽつりと呟いた。


あぁ、胸が痛いなぁ。恋をするってこういうことなんだ。