「……南先輩」

愛おしい先輩の名前を、もう一度声に出して呟いた。

なんて素敵な響きなんだろう。今、世界で一番好きな単語だ。


「晴人、ほんといいやつだよ。誰にでも平等に優しいし。でも……」

大友先輩は続きがあるはずなのに、言いにくそうにしていた。

「でも、なんですか?」

「……でも、」

「でも?」

大友先輩は少し考え込んでから、言いづらそうに答えた。