「でもね、菫ちゃんが活動に来なくなって気づいたことがある」

次の言葉を待っていたけれど、なかなか南先輩は口が開かず、視線を下に下げてしまった。

夕日に照らされた長いまつ毛が、涙袋の下に影をつくっている。


「……先輩?」

「……俺はさ、花を育てるのと同じくらい、週に一度、菫ちゃんに会う時間が楽しみになってたんだ」




……なにこれ。


——目覚めたくないような素敵な夢を見てるみたいで、信じられなかった。


私は言葉を発することも忘れ、ただただ先輩の潤んだ瞳を見続けた。