「ほら、おいで」



ついに順番がまわってきて、一番最後にチケットを渡すと、「なんのゲームに挑戦しますか?」と、にっこり笑顔で問いかけられた。


……どうすっかな


なにをするかどうか、まだ決めていなかったのは俺だけだ。

みんながそれぞれの場所にちらばった後、俺はひとり、満面の笑顔でこちらを見つめるスタッフと、向い合せでたちつくしている。


なにがしたいか、とか、そういうのは昔から決めるのが苦手だった。


はやく決めねぇと…


「なんでも大丈夫ですよ、だいたい皆さんは景品を見て決められる方が多いですね」



スタッフの方が差し出した紙には、それぞれのゲームの名前と、それから景品が絵と文字で分かりやすくかかれている。


ぬいぐるみとか、アニメに出てくるおもちゃとか、防寒具とか、あ…ケーキ

目にとまったのは、たくさんのフルーツがのったホールケーキだった。

ゲームは……どれだけきれいにリンゴの皮をむけるか対決……?

…変わったゲームだけど、

うん、これにしよう。


口を開きかけたとき、たまたま視界に入った輪投げコーナーの景品を見て、思わずじっと見つめてしまう。


……景品……手袋、か…


一年前、来年はなにかプレゼントを渡そうと、手袋を買うつもりでいたことを思い出した。

どちらにしようか。


少しだけ迷ったふりをして、それからすぐに紙の上を指差した。



「どれになされますか?」


「……ふっ…じゃぁ、……これにします」