「ほら、おいで」




「…っ……?!」



立夏が顔を真っ赤にして、ぽかんと口を開けている。

それはきっと俺も同じだ。



「あら、初々しくて可愛い…あっそうだ、もう一枚のチケットはお子さんにどうぞ。私達は今日だけなんですけど、このイベントは明日もやってるんですよ」



ポケットから出てきたチケットを、立夏の手に握らせた女性は、満面の笑顔で俺たちの背中をおした。



「さっ、さ、遠慮なさらないで、並んでください」



隣に立つ男性は、そんな俺たちの様子をにこやかに見守っていて、なぜかそんな姿に、少し憧れを感じた。


わいわいと楽しそうな場所に、ふたりで横になって並ぶ。



「おねぇちゃんと並ぶ」

「……仕方ねぇから俺も一緒に並んでやる」



俺たちのことを慌てて追って一緒に並んだのは、母さんと父さんにやっと会えたミカとショウだった。

周りの子どもたちも大人も、みんな笑っている


ざわざわ、わいわい、がやがや、たくさんの音が聞こえるのはあまり得意ではないし、むしろ苦手だ。


家の中で本を静かに読んでいる方が好きだし、外に出るのは苦手というより嫌いだ。


だけど今は、


今は悪くないなと思う。

いいや、理由もないけれど好きだ。楽しい。