「ほら、おいで」



まるで、あたりまえだろって、そう言われてるみたいだった。

面白そうに、肩を震わせて笑っている。



「……っ…」



まただ。

いつも、昔からずっと、立夏は夜にふわふわと舞う綿雪(わたゆき)のようだ。


俺が真っ暗な空なら、立夏は真っ白な雪。

静かで孤独な夜に光る、優しい温度。


ここは雪がめったに降ることがないから、

雪がふると、きっとみんな空を見上げる。


俯いていても、足元にポツリと落ちる雪は、空を見上げるきっかけをくれる。


冷たいけれど、すぐにカタチを変えてしまうけれど、寄り添ってくすぐって、ふっと、誰かを笑顔にしてくれる。


それを、俺はあたたかいと思う。



「…ふふっ、遠慮なさらないで、この子達を助けてくださったお礼です。もらってください」



ぼーっとしているうちに、サンタ服を着た女性に握らされた小さなチケット。

分かりやすくひらがなで表記されている、(いつもありがとうのきもちをこめて!)というメッセージに、なぜか胸があたたかくなった。



「奥さんがまってますよっ」



にっこりと向けられた尊敬の眼差しと、勘違いの言葉。