「ほら、おいで」



立夏は俺の子供じゃねぇけど…

……まぁ…でも、立夏は少し子供っぽいな

子供っぽいっていうか…表情豊かっていうか……かわいいって…いうか…


いや、そんなこと言ったら怒られる。


チラッと立夏に目をやれば、こちらに気がついたのか笑顔で駆け寄ってきた。



「呼んだ?」

「……呼んでねぇです」



呼んでねぇけど、来てくれて助かった。



「ふくくっ…どうして敬語なんですかっ」



立夏が笑うだけで、その場の空気がじわじわと明るくなる。



「あの、これよかったらお礼にどうぞ」



いつの間にか近くにいた男性が、俺と立夏に小さな紙を差し出した。

イベントに参加するためのものだろうか。

俺たちが会話しているそばで、子供たちが楽しそうにゲームを楽しんでいるのが、さっきから視界に入ってくる。

冬なのに、雪が降っているのに、ぜんぜん寒そうにしていない。



「わぁぁ…ありがとうございますっ」



立夏はそう言って嬉しそうに紙を受け取って、それからすぐになにかに気がついたように表情を曇らせた。

その理由はすぐに気がついた。

俺が暗くなる前に帰ろうと、そう言ったからだろう。

もう空は真っ暗だし、約束の時間はもうとっくに過ぎている。



「…りつか、」



名前を呼ぶと、立夏はこちらに視線を向けた。