___
_
「ほんとうにありがとうございました…っ」
何度もサンタ服を着た女性に頭を下げられて、正直うまく言葉が出てこないでいた。
立夏に手をひかれて着いたのは、ショッピングモール近くのイベント受付のような場所。
立夏に手をひかれて勢いでやったのだけれど、とうの本人は小さい子供と楽しそうに会話をしている。
……あんまり状況を呑み込めてない俺をほったらかしにするなよ
そう思いながらも、楽しそうな立夏を見ていると、自然と頬はゆるんでしまう
「……いえ、…心配ですよね」
「え…?」
「誰かを待つのって、生きた心地がしない」
立夏を見ていると、自然とそんな言葉が口からこぼれていた。
シーンとした空気にはっとして、思わず「すみせん」と言葉を付け足す。
…なにいってんだ、俺は
「…はい……え…、お若いのにお子さんいらっしゃるんですか?」
「え………」
「わたしの気持ち、分かってくれる人に初めて出会えたので…つい…」
すぐにいないと言いたかったけれど、きらきらした尊敬の眼差しで真っ直ぐ見つめられ、思わず言葉につまってしまう。