隣に立っていたミカのお兄ちゃんが、優しく私の手をとって、それから私の手を織の手へと重ねた。
「…この泣き虫なお兄ちゃんは、俺が面倒見ててあげました」
ふんと、自慢気にそう言って、わたしを見あげるミカのお兄ちゃん。
…織が面倒みられてたんだ
「ふふっ…くくっ……ありがと」
大人っぽくて、余裕があって、クールで、わたしより年上みたいだって思っていた。
でも、うん。そうだよね。
織だって泣きたいときくらい、あるもん。
怖いことも、きっとある。
手が冷たい日だって、きっとある。
「ミカのお兄ちゃん、お名前は?」
「俺はショウ」
「じゃぁショウ!一緒に母ちゃんと父ちゃんのところに行こ」
織の手とショウの手を握って、たくさんの光がある方へと向かう。
織の手もショウの手も、夜風に吹かれたからなのか、冷たかった。
それでも手をつないでいれば、お互いの体温がお互いを、
きっと温めてくれる。



