「ほら、おいで」



同じサンタ服を着たスタッフさんが、ミカの母ちゃんと父ちゃんの肩を軽くたたいてそう言った。


?!

ぎゃーーイルミネーション始まっちゃうっ

どうしよう、どうしよう

とりあえずミカのお兄ちゃんを、ここまで連れてこんとっ



「あのっお兄ちゃんは私の幼なじみと一緒で、すぐ近くにいるのでっ、呼んできますねっ」



返事を聞かずに一歩足を踏み出したとき、私の目の前を、白いふわふわが通り過ぎていった。

わ…綿あめだ〜〜



「あ、あのっ、私達も行きますっ」



ミカの母ちゃんの声が聞こえて、わたしは後ろを振り返った。


もうすぐイベントなのに、いま雪が降ってきているのに、ミカの母ちゃんと父ちゃんも、周りの親子も不安そうな顔をしている。

いつも織が私に向ける顔だ。

心配しているときの顔。


そっかっ…そうなんだ…これは…



人と人の間にある、愛なんだね。



わたしは両手をメガホンのように口の端にそえて、すぅっと大きく息を吸った。



「サンタさん!いってきますっ帰ってきたら、私にもプレゼントくださいーーっ」



「プレゼントは…っ…、みんなの笑顔!!」



みんなが微笑んだ瞬間、私はまた前を向いて、大きく一歩を踏み出した。



「3…2……1…!!」

「わぁぁ……!!」



背中から伝わってくる。

みんなの嬉しそうな声。



あたたかい…たくさんの光。