「ほら、おいで」



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「名前はなんていうの?」

「…みか」

「ミカ!」



私が名前を呼ぶと、ミカは安心したように笑ってくれた。

まだ繋いだままの手からは、あたたかい体温が伝わってくる。



「ミカの手あったかいねぇ…」



うっとりしながらそう言うと、ミカは自慢気に「へへっ」と笑った。

…嬉しそう


しばらくして、夫婦が営んでいる小さな居酒屋さんが見えてきた。

行ったことのあるお店だ。

今は緊急事態だから、あそこでトイレを貸してもらおう。



「ミカ、あそこ見える?あのお店の店員さんはすごい優しいから、トイレ貸してもらおうよ」



頷いてくれると思っていたけれど、ミカは不満げに首を横に振った。


…嫌かぁ



「すごく優しいから大丈夫だよ?」



そう言っても、ミカは首を横に振るばかり。



「……しょっぷんぎゅもーる」



…ん?……なんて?



「しょっぷん…ぎゅぅ…おーる…?」



私がそう問いかけると、ミカは「そうそう」と言うみたいに、何度も頷いた。


え……それはいったい、なんの怪獣ですかい?