「ほら、おいで」



空が暗くなるのが怖い。

それは俺の方だ。


あの日のことを思い出すから。

後悔ばかりが浮かんでくるから。

立夏の母さんと約束したから、暗くなるまでに帰らないといけない。

でもそう提案したのは俺だ。

18時までには帰ろうって、暗くなる前に帰ろうって、そう言ったのは、立夏のためだ。

それはほんとうだ。

けれどきっと、それだけじゃない。


怖かったんだ。


あの日の記憶を、俺だけが知っている。

18時に点灯するイルミネーションを見たらきっと、俺は思い出すだろう。

告白も、手の温もりも、ツリーも、来年の約束も、初めてもらった白いブランケットも。

怖い。

新しい記憶を作るのが、怖い。

そうやって先のことばかりを考えて、



立夏の気持ちを、考えてやれなかった。



「……泣くなよ、俺より大きいくせに」

「泣いてねぇ」

「ウソつくと誰も信じてくれなくなるんだぞ」

「……すみません」

「でも…、俺は信じてやるっ」



無邪気な笑顔だ。

なんの濁りもない、きれいで純粋な笑顔。

立夏もこんなふうに笑う。

俺は立夏の笑顔を、そばでずっと見守っていたくて、一年前のクリスマスイブに告白したんだったな。


なのに俺は、自分から離れていった。


__『俺のそばにいてください』

__『……はいっ』



あの日の約束をやぶったのは、俺の方だ。