___
__
立夏の背中がどんどん遠のいていく。
今すぐにでも駆け出して引き止めたかった。
踏み出しかけた足をグッと踏ん張って、俺の顔を不安そうに見つめる小さい子供に、視線を合わせるようにしてしゃがんだ。
「……パパとママと、どこではぐれたか覚えてる?ここかな?」
「……子供扱いすんなっ」
「あ……すみません」
…なんか…怒られた
立夏より扱い方が難しいな
「…お兄さん何歳?」
「は…?」
本来なら俺が質問すべきことを逆に質問されてしまった。
「お兄さんって、オトナ?」
「…まぁ…うん」
まだ高校生の俺は子供だけれど、この子よりは、ずっと大人だ。
それに俺が子供だと言えば、この子を不安にさせてしまうかもしれない。
「…ふーん、やっぱり」
何かを試すように、まじまじと見つめられ、思わず瞬きをするのもためらってしまう。
…やっぱりって、どういう意味だろうか
頭の中でぐるぐる考えていると、いきなり手を握られて、ビクッと肩がはねた。
「じゃぁ、こうされると嬉しいのか」
「え…?」
ぎゅっと、握られた手に力が込められた。
「……オトナは…どうすれば喜んでくれる?」