「…じゃぁ皆で一緒に行くか」
後ろにいた織が、少し前に出てそう言った。
すると、それと同時に女の子が一歩後ろに下がる。
…この子…男の子に自分がトイレに行きたいって知られるのが嫌なのかも
だって私がそうだもんっ
気持ちわかるよ〜〜…
「おり!私一人でいってくるね」
「えっ……いや、」
まだ納得のいっていない織だけど、この子をトイレにはやく行かせてあげなくちゃ。
女の子に聞こえないように、織の耳に口を寄せる。
「乙女は男の子にトイレ事情を知られるのはいやなのっ」
「すぐ帰ってくるよ、それから母ちゃんと父ちゃん探してあげようよ」
わたしが女の子に手を差し出すと、案外すぐに手をつないでくれた。
「よし、行くよ」
そう言って足を一歩踏み出す。
「りつかっ!」
えっ…?
驚きながらも後ろを振り返れば、織は今にも壊れそうなほど不安そうな顔をしていた。
「…無事に…帰ってこいよっ」
そう言った織は、珍しく感情的だった。
…そんなに心配しなくても大丈夫なのに
そう思ったけれど、あぁ、ダイスキだなって、理由なんてないけどそう思った。
「ふふっ…うんっ、だいじょーぶ!」