「ほら、おいで」






ぐぅぎゅるるる…


まさか自分のお腹の音で起きるなんて思わなかった。


柔らかくて真っ白な毛布が、私の首元までしっかりと掛けられている。

きっと織がかけてくれたんだろう。


その優しさが胸に染みて、
思わず頬が熱くなった。



カーテンをそっと開けて窓の外を見てみると、暗闇の中で、ふわふわ浮いてる綿あめは、まだまだ止みそうにない。


シンプルな形をした置き時計は、23時56分をさしていた。



あっ!あと4分でクリスマスだ!



そうだからといって私の身に何かが起こるわけではないけれど、こういうカウントダウンはドキドキするものだ。


もう目が覚めてしまったし、せっかくなら日付が変わるまで起きていよう。



もし隣に織がいたなら、もっとワクワクドキドキしただろうけど、もうこんな夜だから、きっと疲れて眠ってしまった。


窓のずっと向こうには、たくさんの家が並んでいる。



「母ちゃん…大丈夫かなぁ」



まだ家出したばかりなのに、もう母ちゃんと会ったのが遠い昔のように感じるのは、どうしてだろう。


なんとなく窓に手をあてたとき、近くでカタンッと物音がした。


「……ん?」