「ほら、おいで」



織が準備してくれていたのは、バスタオルと、裏地がモコモコした白いパーカー、それから裏地がモコモコした黒いジーパン。


…なんか照れるな


着てみると、サイズが全然あっていなくて笑ってしまった。


…なんか照れる


何度も何度も照れてしまう。

全身が織の匂いにつつまれて、ドキドキする。

まるで、ぎゅっとハグをされているみたい。

それにモコモコしてるから、あたたかい。



リビングに戻ると、織の姿はなかった。

自分の部屋で出かける準備してるのかな。



「ん〜〜」



織がいないのをいいことに、ホカホカぬくぬくのままソファに倒れ込む。

はぁ〜…あったかぁ〜…

私の家にもソファあったらいいのにな。



「……髪、かわかした?」



っ?!

声がした方を向けば、織が疑いの瞳でジーッとこちらを見つめていた。



「あー…あははっ…忘れてた」



笑ってごまかせると思っていたのが甘かったらしい。

織は無表情で洗面所に行って、手にドライヤーを持って戻ってきた。

無表情のわりには、なぜか圧を感じる。



「お…おりさん…?」



織の勢いに怖くなって、慌ててソファから立ち上がる。

私が後ろに下がれば下がるほど、距離を縮めてくる。

織の後ろに、ゴゴゴ…と漫画でよく見る文字が浮かび上がってきた。


…わぁーーっ、逃げろ〜〜〜