「ほら、おいで」



「……立夏って朝ゆぶねつかる?」


洗面所のドアからヒョコッと顔を出した織に、そう問いかけられて、首をかしげる。


「え?」

「…風呂」

「ううん」

「…ん、じゃぁ入ってこいよ」



洗面所から戻ってきた織は、白くてシンプルなドライヤーを、私に差し出してくれた。


…さっきから忙しそうに準備してたのって、わたしのお風呂の準備だったの…?



「織は?」

「…立夏が寝てる間に入った」



…まだここにいていいんだ


少しの戸惑いと、嬉しさが交差しながら、差し出されたドライヤーを受け取った。



「…ありがと」

「……外寒いし、ちゃんと乾かせよ」

「うん……ん?そと?」



いま、外って言った?!



「外いくの?!」



織は面白いものをみたかのように、やわらかく微笑んで、それから静かに頷いた。


…やったぁ〜〜


°・❆



「うぅ……さ、さむ…」


お風呂からあがると全身が震えるほど寒くて、イラッとした。


…お風呂から出るこの瞬間が世界で一番嫌いかもしれない