「ほら、おいで」




「織ごめんねっ」

「……べつにいいよ、怒ってねぇし」

「すごい眉間にシワ寄ってたよ」

「……息できなくて苦しかったからだろ」



織はタオルで顔をふいてから、洗面所を出ていってしまった。


…私もうがいしよう

水を口に含んで、出す。

それの繰り返しをしているうちに、さっきの織の顔を思い出して、口に水を含んだまま、ふっと笑う。



「…こほっ…こほっ…ふふふっ」



人生で初めて、まともにうがいができませんでした。



洗面所からリビングに戻ると、織は服やバスタオルを抱えて、また洗面所に戻っていった。



「…りつか」



そして慌ただしくまたリビングに戻ってきた織は、私の名前を呼ぶ。



「ん?」



私の顔をじっと見つめて、それからホッとしたように顔をやわらげた。



「ん?なに?」

「…俺が口から吹き出したやつ、かかってないかの確認」



なにそれ、すごく真剣な顔ですることなの?

織は私の安全を確認すると、また洗面所へと歩いていく。



「…ふっ…くふふふっ…もうっ、織、そのハナシ禁止」