「ほら、おいで」



しばらくして、こちらを振り向いた織は、私になにかを差し出した。



「……新品」



織の手にあるのは、まだパッケージのついた白い歯ブラシ。

わたしはそれを受け取って、さっそくパッケージを開けてみる。

私がいつも使っているのより、少しだけ大きい気がした。



「…ありがとう」

「……ん」



織に歯磨き粉をつけてもらって、洗面所で一緒に歯をみがく。


シャカシャカシャカシャカ。

歯をみがきながら思う。


さらっと、優しさで話を逸らすのはずるいですよ、織さん。



「……んんん、」



隣で歯みがきをしていた織が、私になにかを言っている。

歯ブラシをくわえたままでモゴモゴしてるから、ぜんぜん何を言っているのか分からない。



「ん?…にゃに?」

「ふぉいへ」

「え?」



…織なにいってるんだろう

不思議に思って見つめていると、織の口から「…くふっ」と変な音がした。

そして織の口から、ドバーッと泡が溢れ出してくる。



「ひゃーーーっっ」



織が溺れてるーーっ