「ほら、おいで」




私がはっきり言えなかったのも悪いけど、周りの人も少しは悪いと思う。


私が織と話すたびニヤニヤした顔で見てくるし、織とふたりっきりだと思ったら、ドアの隙間から見てるし!


そんなの照れて言えるわけない〜〜


でもっ今は違う!

織と家でふたりっきり。

それに誰にも見られてない。

…よぉーしっ



「ねぇ、お…り!?」



あれ?!


向かいに座っているはずの織の姿がない。

それに使っていた食器もきれいに机の上からなくなっていた。

慌ててキョロキョロと部屋を見渡す。



「お、おり〜!どこ行ったの〜?」



立ち上がって歩きまわっていると、洗面台の方から音が聞こえてきた。

水の音と…これは、歯磨きをしてる音?



「おりーー!」



小走りで洗面所に向かって、勢いよくガチャッとドアを開けた。



「ねぇ織!30分だけのお散歩コースはいかがですかっ?!」



鏡越しに織と目があって、ドキッとした。

シャカシャカ、と歯ブラシの音だけが響く。


…やっぱり…嫌かな


ドキドキしながら返事を待っていると、織は洗面所にある引き出しを開けて、ガサゴソとなにかを探し始めた。


…ん、…え?