「ほら、おいで」



そんな織の肩をグイグイおして、リビングへと戻る。



「だ、大丈夫だよっ」

「……立夏、昔からお腹弱いから」

「そうだけどっ、今は違うっ」

「…昔からお腹弱いくせに恥ずかしがってトイレ行かないだろ」

「なっ、なにそのエピソード!そんなの覚えてなくていいのにぃ〜〜うわぁぁ」



ドンッと、織が壁に手をついた。

私がグイグイ織の背中をおしても、ぜんぜん前に進まない。


そして、織はゆっくりとこちらを振り返った。


…な、なに?!


じーっと見つめられれば見つめられるほど、織の瞳の奥に吸い込まれてしまいそう。

思わず壁に背中をつけて、カクッと力が抜けそうになるのを堪える。

織はゆっくり近づいてきて、それから、静かにトンッと私の頭の上に手をついた。


…え…な、なに…?

もしか…して、また……チューする…の?



「…そこ、トイレ」



……へ

織の視線をたどってみると、私が背中をつけているのはトイレのドアだったらしい。

だ…、だ


「だから違うってばーっ」