「ほら、おいで」



「あっ!…ねぇ織くん、立夏にチューしたっていいんだからね」

「っ?!?!」



不意打ちをくらった。

そう言われて思い出したのは昨日の夜のこと。


…せっかくちょっと忘れかけてたのに…


思い出すだけで顔が熱くなる。


…あぁっ、唐突なところもこの人ゆずりかっっ

なんでチューしたこと知られてんのっ…?

えっ、見られてた?どこからか観察されてた?



「あはははっ…じょうだん、じょうだんよっ…あははっ」

「…あ、…あ〜…あははっ…」



…冗談がリアルでドキッとしました



「織くんに迷惑かけたらいかんよ」


少し遠くからお父さんの声らしきものが聞こえてきた。



「えー、だって年頃のふたりだもの、ねぇ…?それぐらい、いいわよね?」

「久しぶりに再会したんだもの、それぐらい、いいのよ」

「ねー?織くん」



いや…もうしちゃったんで…なんて言えるわけねぇ…



「いや、いくら年頃でもいかんだろ…そ、そのチ……チューは」



…すみませんお父さん



「あっはははっ、父ちゃんなに照れてんの!」


ベシッ

「いでっ」



電話越しなのにも関わらず、立夏の母さんの渾身の一撃の音が聞こえてくる。


……お父さん無事かな



「あぁっ…織くんごめんね!あははっ…じゃぁね」



プツリと、あっけなく電話が切れた。