「ほら、おいで」



「…織くん、辛くない?」



予想外の質問に、心臓がドキッとした。

それは、自分の心の奥に触れられた気がしたからだった。


…ほんとうのことを言えたなら、少し辛い

痛い。


でもそれだけじゃなかった。



「………いえ、」

「また笑った顔が見れて嬉しいです」



また笑った顔を見られて、ご飯を食べてる時の幸せそうな顔を見られて、俺は幸せだと思う。

何度も「織」と名前を呼ばれるたび、胸が苦しくなるほど嬉しいと思う。



「…っそう、……そっかっ…」



立夏の母さんの声は涙混じりだ。

だから電話を切ったあと、立夏の母さんがまた不安になったりしないように、俺はなるべく落ち着いた声で言った。



「今日の明るいうちに家まで送っていきます。だから心配しないでください。」

「織くん辛い思いさせてごめんね…っ…ありがとうねっ…」



何度も何度も言ってくれる。

俺にありがとうと、ごめんねと。


「……っ…」


俺はそんなにえらくありません。



「はぁーー…あははっ、織くんはあれね、顔も心もイケメンねっ」



…ん?