__「くん……織くん?」
えっ…
だんだんと声が大きく、鮮明になって、やっと昨日の記憶を思い出していたんだと理解した。
「あ、すみません…ボーッとしてました」
「あはははっ…大丈夫、大丈夫!織くんちゃんとご飯食べてるの?母ちゃん心配だよ」
「……ちゃんと、食べてます」
「そうっ、ならいいのよ」
立夏の母さんは少し照れくさそうに言った。
きっと俺に電話をかけてきたのは、立夏のことが心配でたまらないからだろう。
「…立夏は、もう起きてる?」
俺は自分の寝癖のついた前髪を触って、ふっと笑った。
「あぁ…ふふっ、いえ、多分まだ寝てます」
「もう〜〜っ、あの子ったら、朝ぜんっぜん起きないんだから〜〜、あほだよ、あほ。あはははっ」
「…ふっ…ですね」
立夏の母さんが楽しそうに話すので、思わず俺も話にのってしまった。
この会話を聞かれていたら、きっと立夏は頬を赤くして怒るだろうな。
「あははっ、あっ織くんに迷惑かけてない?」
また心配そうな声だった。
どうやったら立夏の母さんを安心させてあげられるだろう。
「……元気で、…それからよく笑っています。でも深夜にお粥を食べさせてしまいました。すみません。」
…こう言えば安心してもらえるか?
「あはははっ…もぅっ、あの子はほんとに迷惑かけて〜…ほんとにごめんねぇ、ありがとう」
少しホッとしたのか、立夏の母さんの声が明るくなって、俺も安心した。
立夏のことが、心配でたまらない。
いい母親だと、いつも思う。
優しくてよく笑う。



