「ほら、おいで」



「あはははっ…そっかそっか!ごめんねぇ、こんなお昼時に」


…お昼時?

今なんじだ?


まだ寝ぼけた頭で部屋を見渡して、やっと見つけた置き時計。

けれど視界がぼんやりしていて、正確には見えない。


…あぁ?…おれ、メガネどこやった…っけ


ベットを手探りでなぞって、それから机の上もなぞってみる。



「織くん忙しかったかな?」



探してるうちに電話をしていたことを一瞬忘れていたらしい。

明るい声が耳に届いてハッとした。



「っ…いえ、ぜんぜん」



明るくて柔らかい声が、立夏によく似ている。


高校生になって、立夏の母さんと電話をするのは、これで二度目だった。

一度目は、立夏と再会する前、バイトがやっと終わって、帰り道を歩いていた時だった。