「ほら、おいで」




『ここのイルミ小さいね〜』

『ね、この前行ったところの方がよっぽど大きかった』



俺達の近くでイルミネーションを見ていた女性ふたりの話し声が聞こえてくる。

しまいには、「つまらねぇ」とまで吐き捨てて、イルミネーションに背中を向けた。

ふと周りを見渡してみれば、ほとんどが買い物袋を持った子連れの親子だった。


イルミネーションの場所を決めたのは俺だ。


『………』

『………』


立夏にも聞こえていたのだろうか。

ふたりになんとも言えない沈黙が流れて、そして口を開いたタイミングは全く同じだった。


『『あの…、』』


次の言葉を口にしたのは、立夏だった。


『来年も…、』


珍しくしどろもどろ、とても言いづらそうにしている。

顔はりんごみたいに真っ赤だった。

きっとたぶん、照れているんだろう。


それは俺も同じだった。

顔も、体も、ぜんぶ熱い。


……言わせてどうすんだよ


俺は小さく息を吸った。



『来年は…、もっと大きなイルミネーション…調べとく…』



格好悪い誘い方だな、と思いながら顔を上げれば、立夏は幸せそうに微笑んでいた。



『来年もここがいい』



そう言って頬を赤らめる立夏の笑顔が、だんだんとぼやけてくる。


その時ようやく理解する。

あぁ、また。


また、あの日の夢を見ていたんだって。


目を覚ました俺は思う。


……幸せな夢だった。



くすぐったくて頬を親指でなぞれば、なぜか頬は濡れていた。

どうしてリビングで眠ってしまったのだろう。

立夏はどこに行ったんだろう


ソファに手をついたとき、なにかに触れる感触がして視線を向ける。



「……っ?!」


叫びかけたので、口を慌ててふさいだ。


立夏が自分の隣に眠っていたからだ。