「ほら、おいで」



ふふっ…変わってないなぁ


なんとか織に笑顔になってほしくて、両手をバッと広げて言った。



「じゃ〜〜ん、びっくりした?くりすますプレゼントなのだ!」

「一人暮らしで寂しいであろう、おり様への、さぷら〜いずっ!」



これは逆効果だったらしい。

織は眉間にシワを寄せて、じーっとこちらを見つめるだけだった。


…帰れって…、言われちゃうかな


織は小さくため息をついた。

そして私の横を通り過ぎて、何も言わずにドアに鍵をさしこむ。


ガチャッと、ドアの開く音が聞こえた。


あ…れ…?

…一言も喋ってくれないの…?



「…………風邪ひくから」



織の優しい声が後ろから聞こえてきて、思わずゆっくりと振り向いた。

目が合うと、織は少し表情をやわらげる。



「ほら、おいで」



そう言った織の声は、雪がとけてしまいそうなほど、甘かった。