「ほら、おいで」



「おり元気じゃんっ」



こんなふうにじゃれあう元気あったじゃん。

すごく眠そうだったのに。



「ねぇ、おり!」



呼びかけても反応はない。

織はまた半目になっていて、今にもカクッと寝落ちてしまいそうな顔をしている。



「急に無口!!」



私がそばに来た途端、織は安心したようにひと息ついた。

やっぱり眠いんだ。


いつもより近い距離。

肩と肩がひっつく距離。


ソファの背もたれに横向きで身を預けるより、きっとひとりで寝転んだ方が楽な体勢なのに。

どうして私を呼ぶの?


もう離れていってしまった織の手。

触れていた手首から、織の体温がゆっくりと消えてゆく。



私はそれを、寂しいと思う。



中学を卒業してから、織と離れていた時間も、今も。



「…ねぇ、おり」



織からの返事はない。

俯いてしまった織の表情は、前髪に隠れて見えない。