「ほら、おいで」



私は覚えているのだ!

中学校のとき、保健室に行った織が心配で様子を見に行った時、無言で手を握られたこと!

まだある!

授業中にうつ伏せで眠っている織に、ちょっかいを出したとき、

怒るかとおもいきや、いきなり手首を掴まれて…「…おいで」って甘えた声で言われたこと!


思い出すだけで顔が熱くなる。

それでその後クラスメイトに「夫婦」だなんて言われて、しばらくいじられたりしたっけ。



「りつか、」



催促するようにもう一度名前を呼ばれて、私は慌てて食器洗いにとりかかった。



「洗い物してから寝るから先に寝てて!」

「……ばかやろう、一緒に寝るんだろ」

「っ?!そんなこと一言も言ってないですよ?!」


「もういい……」



えっ………拗ねた?

いきなり静かになった織が気になって、私は水道を止めた。



「お…おり…?」



呼びかけても返事はない。

…寝た?

忍び足でゆっくりとソファへと近づいて、織の顔を覗き込む。


あわよくば寝顔を見られるかも…なんて下心は、決してありません。

……たぶん



「寝たの…?」



織は気持ちよさそうに目を閉じていた。

…あ、寝てる