しばらく夜風にあたっていると、さっきまで熱をもっていた全身が、だんだん冷めてきた。
…ベランダでてきてよかった
「あー……すずしい」「……さむい」
ふと口にした言葉。
「は?」「え?」
それと同時に耳にはいってきたのは、さっきとは違う、真逆の言葉だった。
「すずしいって、織さん冬ですよ?」
「さみぃって、……立夏、いまどんな格好してんだよ」
「普通にパジャマだもん」
「…薄着でベランダ出るなよ。部屋入れ」
「織の方こそっ…本当は寒がりのくせに」
「……寒くねぇよ」
このままだと立夏が風邪をひいてしまう。
もうそろそろ寝る。そう言って電話をきろうとした時、立夏が俺の名前を呼んだ。
「ねぇ、おり」
「あれ言ってよ」
……あれ?
「…あれって、なに」
「あれ聞いたら、あたたかくなりそうな気がするなぁー…」
自分から答えを言うつもりはないらしい。
なので、ヒントにあてはまるものを探してみることにした。
聞いたら…あたたかくなりそうな…気がする?
「……んだ、それ」
はらまき?いや、それはないか。
「ほら、あれだよ、織がよく言ってくれるやつ……わたしが好きなやつ」
俺がよく言う……立夏が好きな言葉…
そう言われて、あっと思い出した。