「ほら、おいで」



机の上においたメガネをとりにいき、それを入れるために、メガネケースをあけた。

新しい、匂いがした。


そこに見慣れたメガネを、そっといれる。



「……おかえり」



思わず緩んだ頬をそのままに、メガネケースをとじ、机の上においた。


…もうそろそろ寝るか


風呂にはいる前に、充電しておいたケータイを手にとって、コンセントをぬく。

そのとき、新しいメッセージを知らせる通知音が鳴った。


パッと画面に表示された名前は、【立夏】だ。


えっ…


[織、もう寝ちゃった?ごめんね。明日バイトなのに。織がちゃんと帰れたか心配だから連絡してって、母ちゃんうるさくてさぁ…]


文章そのままの場面が頭に浮かんで、思わず頬が緩んだ。


…帰ってからすぐ連絡すればよかったな


後悔を感じながらも、返事を返すために文字をうってゆく。


[起きてる。それにちゃんと無事に帰ってる。心配かけて、ごめん。]


何度か読み返したあと、送信した。

やるべきことは全てやったので、後は眠るだけだ。

ごろんとベットに寝転がり、ブランケットをつかんだ。