「ほら、おいで」



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…眠たい


髪の毛先から、雫がぽつり、ぽつりと落ちてゆく。



「乾かすの……めんどーだな」



お風呂あがりの濡れた髪をそのままに、思わずそんな言葉が口からこぼれた。


けれど、ひとりでそんなことを言っていても仕方がない。

ひと息ついてから、髪を乾かして、ご飯を作って、冷蔵庫にある残り物で作ったそれに、「いただきます」と手を合わせた。


誰の声も聞こえない家で、ただ、食器と机とがぶつかる音と、箸が器にあたる音がする。


そういえば…立夏と一緒に食べているときは聞こえなかったな…



「………」



普段どおりの味なのに、なぜか物足りない、とそう思った。


ご飯を食べ終えると、食器を洗って、パチっとリビングの電気を消した。

うとうとしながら階段をのぼって、ベットに手をついて、腰かける。


そのとき、左手の小指になにかが触れた。


立夏から初めてもらったプレゼント。

白いブランケットだ。


なんとなくそれを手にとってみると、ブランケットの下から、ずっと探していたものが姿を現した。



「……あっ…た」