「ほら、おいで」



あしたバイトあるんだ…

それなのに、私を家までおくってくれたんだと思うと、心に深く優しさがしみる。



「あら…そう?…気をつけて帰るのよ織くん」



そう言った母ちゃんの声は、すごく心配そうだった。

私も心配だ。

織は美人だから、車で誘拐されたりなんかされたりしたら……うぁぁ…どうしよう…っ



「お、おり…!!わたしが家までおくっていこっかっ…?!」



私が慌ててそう言うと、「それじゃぁ、俺が立夏をここまでおくった意味がなくなるだろ」と、目を細めて織が笑った。



「織くん、あのっ…家のフライパンとか、なんかもっていく…!?」



母ちゃんがフライパンをとりにいこうとすると、俺は慌てて、一歩前に足を踏み出した。



「あっ、あのっ…大丈夫、大丈夫なので」

「っ…ふはっ…あの…っ、気をつけて帰るんで、その…心配しないでください」



織は口に軽く手をあてながら、肩を震わせて笑っている。

無理してるんじゃない、気遣って笑ってるんじゃない、心の底からの笑顔。


……よかった


織が楽しそうに笑ってる。


嬉しい。