「……なにそれ」
「…ケーキ」
私が雪で作ったのは、上にたくさんのフルーツがのったホールケーキ。
織がジーッとケーキを見つめている。
ケーキに見えないそれを、ケーキに見えるように、一生懸命に眺めている。
(ケーキに見えねぇ…どの角度から見たらケーキに…?…?)
言葉にしなくとも、織の眉間によったシワが、そう語っているように見えた。
ぐぅぎゅるるる…
ホールケーキ、フルーツがたくさんのったホールケーキ、なんて心の中で唱えながら作ったからか、お腹の中にいる怪獣が、また騒ぎ始めてしまった。
はっ…恥ずかしぃぃ
「…腹こわすよ」
「わかってるよ!たべないよ!」
まったく、織には私がどう見えてるんだよっ
熱くなった頬を冷ますように、冷たい両手で頬を覆った。
……織に怪獣の声を聞かれてしもた〜〜!!
ぎゃーー
恥ずかしがっているうちに、織は私の隣からいなくなっていた。
ベランダを出ようと、部屋に足を踏み入れようといている織に、私は慌てて問いかける。
「寝るの?」
「はら、へってんだろ」
「なんか作る」
「えっ」
「やっったぁ〜〜」